1986年4月、チェルノブイリ原発事故が起こったとき、マーシャル諸島ロンゲラップ環礁のある住民は、暗い表情になってこう語ったといいます。「放射能をあびた人は、
10年たったら私たちと同じように甲状腺異常になるね」。
マーシャル諸島の人々が、米国の核実験で死の灰をあびたのは、30年あまり前のことでした。ところが、放射能はじわりじわりと人々の体をむしばみ、いまもなお甲状腺障害やガン、白血病などの病気が絶えることなく続いています。それどころか、子供たちの世代にまで病気が広がるにおよんで、ロンゲラップの人々は1985年5月、自ら放射能で汚染された故郷を離れたのでした。
「ハーフライフ」とは、放射能の半減期を意味する英語ですが、「半分の命」とも受けとれる内容です。
映画は、こうした“被ばく難民”を生みだした米国の核実験の実態と放射能被害の実像を、島の人々の語りとともに当時の記録フィルムをもとに描いています。核をもつ側の人々の傲慢な姿、それによって被害を受けた人々の苦しみと人間としての尊厳が、あざやかに描きだされています。
ラストシーン近くのおばあさんの言葉を、ぜひみなさんにも聞いてほしいと思います。
太平洋で何が行なわれてきたのか、そして何が進行しているのか、核とは、放射能とは──核時代のまっただなかに生きる私たちへの貴重な警告といえる映画です。
1985年 オーストラリア デニス・オロウク監督 Dennis O'Rouke
日本語版制作 1987年6月(反核パシフィックセンター東京)
50ページ、PDFファイル |
映画パンフレット『ハーフライフ』 50ページ、PDFファイル
※1987年の日本語版公開時のもので、掲載されている連絡先や住所、広告はすでに無効となっていることをご了解ください。
16ミリ(マグネット音声)貸出料:3万円
DVD準備中(DVDでも上映できるようにする予定です)