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樋口陽一さんが語る 一人ひとりの「個人」の自由の大切さ
「自民党憲法改正草案」をめぐって |
⇒文字起こしテキスト |
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2013年5月17日 明治学院大学国際平和研究所(PRIME) |
WEB&YouTube配信2013年6月26日、改訂版2015年9月11日、字幕版2018年8月13日、テキスト8月20日、制作:映像ドキュメント.com
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樋口陽一さんの新刊著書 |
先ごろ『いま、「憲法改正」をどう考えるか〜「戦後日本」を「保守」することの意味』(岩波書店)を著した樋口陽一さん(憲法学者、東京大学・東北大学名誉教授)の講演をまとめた。
自民党が示す「憲法改正草案」では、現憲法13条にある「個人」が削られ「人」へと変えられている。これは単なる言葉の言い換えではなく、憲法がよってたつ考え方をくつがえす意味を持っている。
思想史のなかで「個人」という言葉・考え方が獲得されていった歴史をひもときながら、自民党案の「個人」の否定、「人類普遍の原理」にもとづくとする前文の削除がどのような意味を持つのかを語った。
自民党案が「個人の尊厳」「人類普遍の原理」を削り「家族」「固有の文化」「よき伝統」などを盛り込んでいることに、フランスでいえばヴィシー政権(ナチスに降参してヒトラーに協力した)と同じではないかというある外国人記者の反応。フランス革命の「自由・平等・博愛」を削り、「祖国・家族・労働」というナチスに迎合する文言に変えたのとよく似ている。
また、「押しつけ憲法」というが、もともと憲法とは押しつけるもの。フランス革命で人民は権力者に「人権宣言」を押しつけ、イギリスの植民地だったアメリカ17州は、本国に独立宣言を押しつけた。そして、リンカーンは南北戦争に勝利して南に奴隷解放令を押しつけた。
自民党案は、こうした人類が到達した立憲主義を無視するだけでなく、明治憲法制定時に交わされた議論の水準にすら達していない、と指摘。
伊藤博文が「憲法は君主を縛り、臣民を保護する」と言うと、文部大臣森有礼は「臣民の保護」は余計、人間にはもともと「天賦の人権」があると反駁した。
自民党憲法改正案は、こうした日本の近代史をも侮辱するものだと樋口さん。
そして「正義のための戦争」をめぐる論点整理には、目を開かされた。
「正義のための戦争」というのはあるのか、あるとすればそれはどういうものなのか。大東亜戦争は正義のための戦争だったのか、そうではなかったのか。
大東亜戦争が間違った戦争であったと総括して「これからは正義のための戦争だけをやる」というのがありうる改憲論で、そのときはじめて、正義のための戦争を肯定するか、戦争それ自体に反対するかが議論になる。そうでなければまともな議論にはならない、と樋口さん。
どういう戦争ならやるのかをはっきりさせずに9条を骨抜きにして国防軍をつくるのは、危ういことこのうえない。
新刊著書⇒『いま、「憲法改正」をどう考えるか─「戦後日本」を「保守」することの意味』(岩波書店)
改訂版 (WMVファイル129MB) (字幕ボタンをクリック)(Ver.1 )24分34秒
改訂版 (WMVファイル129MB) (字幕ボタンをクリック)(Ver.1 )24分34秒
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明治学院大学国際平和研究所(PRIME)公開研究会(連続研究会 第1弾)
一人ひとりの「個人」の自由の大切さ〜「立憲主義」の意味を考える
日時:5月17日(金)18:30〜20:30
会場:白金校舎9階91会議室 アクセス
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
講師:樋口陽一(東京大学・東北大学名誉教授、法学者)
司会:勝俣 誠(国際学部教授、PRIME所長)
参加費:無料、事前申し込み不要
主催:明治学院大学国際平和研究所(PRIME)(http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/)
案内
(c) 映像ドキュメント.com, Tokyo, Japan.
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