1月18日、「普天間基地移設計画についての日米両政府および日本国民に向けた声明」の記者会見発表があった。会見は岡本厚さんの司会のもと、宮本憲一さん、宇沢弘文さんら声明の呼びかけ人11人が発言した。
発言したのは発言順に、宮本憲一(大阪市立大学・滋賀大学名誉教授)、宇沢弘文(東京大学名誉教授)、遠藤誠治(成蹊大学教授)、寺西俊一(一橋大学教授)、川瀬光義(京都府立大学教授)、小森陽一(東京大学教授)、千葉眞(国際基督教大学教授)、加茂利男(立命館大学教授)、西谷修(東京外国語大学教授)、前田哲男(評論家)、和田春樹(東京大学名誉教授)。司会:岡本厚(岩波書店『世界』編集長)。
宮本憲一さんが声明の趣旨を総括的に説明したあと、宇沢弘文さんは、CIAが岸信介を巣鴨から助け出して日米安保の基盤をつくらせたことを紹介、戦後65年になるのに米国の植民地化されている日本をどうするのか、大きな国民運動を起こすべきだと提起。
遠藤誠治さんは、「安定」とは違いがあってもなお重要なところで協力できるしくみを守ることであって、普天間基地の移転について日米で意見や利害の違いがあるときに、違いがあると言ったら安定が損なわれるというのはおかしいとメディアを批判。他の発言者からもマスコミの論調のひどさは指摘された。
だいたい国が違ったら意見が違うのはあたりまえだし、外交の継続性なんて言うけど政府が変われば政策が変わるのはあたりまえで、なんであんなふうに新聞は書くのか、と私なんかも思います。
このほか発言は、どこに持っていたらいいといった簡単な解決策はない、このままでは太平洋の両岸で新しい政権が生まれてチェンジするという志のもと動き始めたのに、他人事のように眺めていることで沈静化してしまう、これまで米国との交渉なんてなくてはじめて米国と交渉できるようになったのであって、いま変えられないと沖縄から基地をなくす展望はなくなる、安保世代から見たときの現在の論ぜられ方の異様さ、ほかにも環境や財政、歴史的な観点など、普天間基地移設問題をそれぞれの視点から語っていて、どの話もおもしろかった。
声明は、辺野古を含む沖縄県内の新しい基地建設に反対するというメインの主張だけでなく、旧政権の「合意」に対しては新政権は時間をかけて再検討すべきとし、冷戦は終結したのであり冷戦思考から脱却すること、日米安保体制を見直し、いずれはその他の基地も撤去するという立場を表明している。
(あらかわ)
⇒普天間基地移設についての日米両政府、及び日本国民に向けた声明 ⇒同
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⇒全編
43分54秒(WMVファイル、179MB)
⇒(連続再生)
●関連サイト、関連資料
⇒普天間基地移設計画についての日米両政府、及び日本国民に向けた声明 ⇒同
PDFファイル
⇒県外識者340人県内反対声明 普天間移設で訴え(『琉球新報』2010年1月19日)声明全文と呼びかけ人と賛同者のリストも掲載されています
このほかに記者会見を報道したのは、沖縄タイムスと時事通信だけだったようだ。
⇒県内移設反対声明 大江健三郎氏や宮本憲一氏ら識者340人(『沖縄タイムス』2010年1月19日
09時49分)
⇒普天間、県内移設に反対=有識者グループが声明(『時事ドットコム』2010年1月18日20:27)
●3/20“普天間”シンポジウムの案内
シンポジウム『普天間』―いま日本の選択を考える
発言:加賀乙彦(作家)宇沢弘文(東京大学名誉教授)宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)ほか
講演:桜井国俊(沖縄大学長)、佐藤学(沖縄国際大学教授)
パネルディスカッション:司会・遠藤誠治(成蹊大学教授)、桜井国俊、佐藤学、川瀬光義(京都府立大学教授)、古関彰一(獨協大学教授)、明田川融(法政大学沖縄文化研究所)
日時:2010年3月20日(土)午後2時〜5時(開場1時半)
会場:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎6階さったホール
JR総武線市ヶ谷駅・飯田橋駅、都営新宿線市ヶ谷駅、東京メトロ有楽町線市ヶ谷駅または飯田橋駅、東京メトロ東西線飯田橋駅、東京メトロ南北線市ヶ谷駅または飯田橋駅、いずれも徒歩10分
資料代:500円
連絡先:03−3264−9393(沖縄文化研究所)
お問い合わせ:futenma.sympo.q@gmail.com
予約:futenma.sympo@gmail.com(予約は不要ですが、人数把握のためあらかじめ連絡いただければ幸いです。お名前、連絡先、所属を明記してください)
主催:法政大学沖縄文化研究所、普天間緊急声明呼びかけ人
●もうひとつ3/20“普天間”シンポジウム
マスコミ九条の会シンポジウム:
「普天間問題」のウラに隠された真実 ―進行中の米軍グアム統合計画の意図を探る―
沖縄の海兵隊の「7割」がグアムに移転する。日本が頼んだからではない。
米軍自身の世界戦略による「再編計画」のためだ。
なのに、なぜ普天間の代替基地を差し出さなくてはならないのか?
メディアはなぜこれらの事実を伝えないのか?
安保改定から50年、普天間問題に象徴される日米同盟のゆがみを明らかにし、
真っ当な世論の形成をめざす!
米軍のグアム統合計画の実態:吉田健正(国際問題ジャーナリスト。沖縄在住)
ウラ安保に食われた日米関係:前田哲男(軍事評論家)
普天間問題とメディアの問題:鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
コーディネーター:桂 敬一(マスコミ九条の会呼びかけ人)
日時:2010年3月20日(土)開場12:30、13:00〜16:30
場所:日本記者クラブ・10階ホール
千代田区内幸町2−2−1 日本プレスセンター内
参加費:1000円、学生500円
主催:マスコミ九条の会(http://www.masrescue9.jp/)
問い合せ先:090−8580−6307(三枝)
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